2012年総会での特別決議

核兵器も原発もない世界をめざして

全道の医師・歯科医師のみなさん

今年五月、ウィーンで二〇一五年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた第一回準備委員会が開催されました。これには日本原水協と被団協が代表団を派遣し、核兵器禁止条約(NWC)の交渉開始を求めて旺盛な活動を展開しました。多くの国がNWCの交渉開始を主張・支持していますが、核保有国が動かず膠着状態になっています。これを突破する新しい動きとして、核兵器は存在そのものが悪との考えを世界の規範にしようとする国際人道法に基づくアプローチが注目されています。これは国際赤十字が昨年十一月の代表者会議で核兵器廃絶が「私たち人類の存続を保証するために、この惑星のすべての市民にとっての共通スローガンであるべきだ」とする決議を採択したことに通じます。今こそ、核兵器のない世界の実現に向け、NWCの交渉開始の声を大きく上げようではありませんか。私たちは、核兵器禁止条約の実現をめざす核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)を、世界の多くの人々と共同してすすめる決意です。

昨年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖大地震と大津波によって東京電力福島第一原子力発電所は大量の放射性物質をまき散らし、一九八六年のチェルノブイリ原発事故に匹敵する過酷事故を起こしました。全国で今なお三十四万人もの人が避難生活を送っていますが、県外への避難者は福島県からが群を抜いて多くなっています。原子力安全・保安院の試算では、大気に放出したヨウ素131は広島原爆の二・五発分、セシウム137は広島原爆百六十八発分に相当し、政府の「収束宣言」とは裏腹に、メルトダウン(炉心溶融)とメルトスルーなど、圧力容器から溶け出た核燃料の行方さえ把握できない状況です。放射能汚染物質処理の見通しも立っていません。そんななか、今年五月五日、泊原発三号機を最後に国内の全ての原発が稼働停止に至ったことは世論の力といえるでしょう。

全道の医師・歯科医師のみなさん

No Nukes ─核兵器も原発もない世界こそ、安全で持続可能な世界です。私たちは、世界中にある約二万発の核兵器の廃絶を求めると同時に、関西電力大飯原発をはじめ、国内五十基の原子力発電所の再稼働を許さず、原子力に依存しないエネルギー政策への転換をつよく求めるものです。「昔、核兵器と原発というものがあった」といえる社会を子どもたちに渡せるよう、草の根から奮闘しようではありませんか。

二〇一二年六月十六日

核戦争に反対する北海道医師・歯科医師の会 第二十四回総会

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